多摩30自治体における生活保護申請時及び生活保護利用者の「無料低額宿泊所」利用状況調査アンケート結果

新型コロナウィルス感染予防対策でネットカフェが閉鎖になり、首都圏で4000人もの利用者が日常住まいとして利用していたネットカフェを立ち退かざるを得なくなるなか、東京都は一時滞在場所として都内のホテル利用を勧めました。現在も区部の多くでは、生活保護申請中にホテルが活用され、そのままアパート入居する例も出ています。国の通知でも、アパート確保するまでの間、ビジネスホテル代を一か月の住宅扶助基準まで支給できるとしています。

しかし、多摩地域では生活保護申請後、無料低額宿泊所に入らないと生活保護決定が出来ないと言われるケースが出てきました。そういった施設に抵抗を示す方も多く、申請をさせない水際作戦とも捉えられます。生活保護法30条の居宅保護の原則に基づき、東京都の生活保護課は、生活保護申請時にアパート入居のための一時金申請も認めています。なぜ多摩地域では無料低額宿泊所を利用させ、アパートへの直接入居、また転宅させないのか、政策執行主体の福祉事務所(生活保護ご担当)に実態を伺いたくアンケートを実施しました。

その結果、各自治体での対応や認識の微妙な違い、また、新たな実態や理由も分かりました。比較や検討等はこれからになりますが、先進的な取り組みから学び、改善したい点なども見えてきました。間もなく開かれる9月定例議会での常任委員会・決算審査等の質疑に活かし、コロナ禍においてもいのちと暮らしを守る政策を進めたいと考えています。

このまとめは今後、「市民自治をめざす三多摩議員ネットワーク」ほか「コロナ災害対策自治体議員の会」など、いくつかのメーリングリストで共有し、WEBとしては、新型コロナ災害対策緊急アクションのHP等にアップする他、プレスリリースを行い、厚労省、東京都などの交渉でも使用する考えです。

また、現在、23区、神奈川、千葉でも同様のアンケート調査を行っており、併せて生活保護行政の改善・向上に活用していきたいと考えております。

市民自治をめざす三多摩議員ネットワーク

2020年度世話人:田村広行  西東京市議会議員  山本洋輔  立川市議会議員
連絡先:片山かおる 小金井市議会議員 小金井市前原町5-9-6 kaoru_09@bd5.so-net.ne.jp
携帯:090-2460-9303

アンケート項目

1. 住まいがない方の生活保護申請について

1)住まいがない方であっても、「現在地」(今いる場所)の福祉事務所で生活保護の申請はできますか。前の晩に寝泊まりした場所で申請すべきという考えはありますか。

2) 生活保護法30条の居宅保護の原則から、申請後、アパート暮らしを始めるための敷金など一時扶助の申請や家具什器費などの一時扶助申請ができることは案内していますか。一時扶助の決定と支給は速やかに行われていますか。速やかでない場合はその理由を教えてください。

3)申請後、保護開始決定前は、どこに居住してもらいますか。ビジネスホテルやカプセルホテルなどの案内と宿泊費の支給はしていますか。令和2年4月14日付事務連絡「生活困窮者自立支援法における一時生活支援事業の活用等について 五 住居を喪失した者に対する生活保護の適用について」はどのように認識していますか。

4)保護決定は申請日時に遡って行われますので、申請時に生活費(手持ち金)がない場合は生活費、住まいがない場合は住居費も申請したその日から支給されますか。

5) 衣服や衣服費は支給されますか。靴の支給はありますか。

6) 食糧支援は行われていますか。お渡しする食糧の内容を教えてください。

2. 無料低額宿泊所について

1)貴自治体では、いつから無料低額宿泊所を利用していますか。自治体として、無低を利用する理由は。

2) 生活保護利用者全体の内の無料低額宿泊所利用者の割合を教えてください。

3)現在の個室利用者・相部屋利用者はそれぞれ何人ですか。

4)無料低額宿泊所を退所してアパートでの自立生活を始めた方の昨年の人数は。また、昨年、新たに入居した方の人数を教えてください。

5)利用者の利用期間(年数)は平均どのくらいですか。

6)利用に際しての自治体独自のローカルガイドラインはありますか。(例えば、6ヶ月居住しないとアパート転宅をさせないなど)

7)貴自治体の 無料低額宿泊所への評価(○をつけてください。複数可)       

A. 生活するうえで色々制約があるので、アパートで自立した暮らしをさせたほうがよい

B. 終の棲家として世話をしてもらえるので本人にとっても住み続けることは良いことと認識している

C. アパートでの自立生活をさせたいが、金銭管理などが出来ない方などの利用は致し方ない

D. 地域でアパートでの自立生活をしていただくためには現在のケースワーカーの体制では担いきれないので致し方ない。

E. その他(自由に記載してください)

8)無料低額宿泊所の評価制度はありますか。(例えば介護保険施設の評価制度のようなもの)

9)無料低額宿泊所利用者への就労支援・医療支援・生活困りごと相談はどのようにしていますか?

10)アパート確保や家具什器の購入などの自立支援、就労支援および、社会的自立支援(ゴミ出し、通院、社会参加など)などで、ケースワーカーと連絡を取りながら生活保護利用者を支援する団体などが貴自治体にはありますか。差し支えないようでしたら団体名を教えてください。

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